乳酸菌ががん治療に効果があるという報告は、すでにアメリカ、中国、ヨー ロッパでされています。私たちもがんについて、華南医科大学に委託研究をしました。そして、化学薬品と乳酸菌をあわせて治療すると、かなり治癒の確率が上がるという結果が出ています。
私は、NS乳酸菌で発酵したものが有効なのだと結論づけて、噴霧剤をつくっていろんな人に配りました。噴霧したら風邪をひかないといったら、欲しがる人が多かったので、たくさん配りました。軽い風邪をひいてくしゃみが出る人は、 噴霧すると症状がなくなり、毎年インフルエンザに感染する人が、そうならなくなったという声が返ってきました。
私は、人の反応はそのまま信じないようにしています。無料で知人からもらったものには、お世辞でも「よかった」と言います。しかし、確かに効果があった ようだという反応は3人以上いました。また、このNS乳酸菌の液体は、決して 味や匂いがいいものではないにもかかわらず、もう一度欲しいという人が多かったので、効果があったのは事実のようです。
NS乳酸菌で発酵した噴霧剤は、呼吸道の病気の予防だけではなく、婦人の病気にも非常に有効です。生殖道の感染症は2~3回噴霧すれば、完全に治るという例も多く得られました。
学者の友人がやってきて、長寿の村の人々はビフィズス菌が多いという研究結 果があるので、つくったらどうかと言われることがありました。
しかし、ビフィズス菌はもともと腸の中にたくさんある菌で、いいエサを与えるだけで増やすことができます。ビフィズス菌を培養するコストは高いのに、乳 酸化物はあまり多くつくりません。他の乳酸菌と共生関係にあるので、乳酸菌が増えるとビフィズス菌も増やすことができるので、わざわざ外から入れる必要はありません。
現代の人間は、食べ過ぎの人が圧倒的に多い。ですから腸内で余分なものを消化してもらう必要があります。人間が乳酸菌をとる理由は、腸の中の整理です。整理してはいけないものを整理しては逆作用になります。そのために、植物性乳酸菌の使用はやめたほうがいいのです。果物ジュースの中にわざわざ植物性乳酸歯を入れる例もありますが、整腸のためには、逆に悪い影響を与えるかもしれません。
現代人は強い肉体労働をしません。重いものを運ぶような仕事だったら、ふたり分の弁当を食べてもいいのですが、座ったままの仕事なら、通常の食事でさえ多いくらいです。その多い食事を消化するために、バクテリアの力を借ります。学者の立場から言うと、余っているのは繊維ではなく、肉、タンパク質、炭 水化物なので、それを消化する乳酸菌を選ぶのが正しいのです。ラクトバチルスファーメンタムのファーメンタムというのは、ファーメンテーション――細かく消化して、吸収、排出することを意味します。これは、発酵する乳酸菌です。人間用のカプセルでのむのは桿菌がいいのです。私は、発酵乳桿菌の中で一番サイズの大きいもの選びます。遺伝子が分かっている5、6種類の桿菌で、顕微鏡の中で見て、大きいサイズのものを選びました。食べ過ぎて余っているものを綺麗に掃除するために、発酵する乳酸菌(乳酸桿菌)が一番いいのです。そうすれば、人間の体は正常に初期化されます。
いま、日本でよく宣伝される植物性乳酸菌といわれるのは、なるべく使わないほうがいいのです。私達は、胃と腸の攪拌、動きを強くするために、ある程度の食物繊維を食べます。食物繊維は栄養として吸収できません。でも、植物性乳酸菌、ラクトバチルスプランタムを食べると、繊維まで消化してしまい、もっと吸収率が高くなります。いまの人間はなるべく食べたものは吸収させないように、繊維は腸と胃に残ってほしいのです。全部ブドウ糖になると栄養過多になってしまいます。ですから私は、植物性乳酸菌は使いません。
乳酸菌製品の広告宣伝のせいで、誤ったイメージが定着してしまっています。健康的なイメージから「植物性」というのが強調されますが、では逆に動物性と いうのがあるかと言うと、それはありません。肉を消化してしまったら、動物や 人間の体内まで消化してしまうことになります。そういう乳酸菌はありません。牛は植物を食べますが動物です。植物性というのは、意味がないのです。
全く気候風土の違うところに行くと、2~3日なら体も問題ないのですが、1週間も経つと、イライラしてきてストレスがたまることが多くなります。これは、食べ物を体が受け付けていないというよりも、むしろ腸内菌が受け入れなくなるからです。腸内菌に必要なエサが与えられないと、働きをボイコットして、腹痛が怒ったり、イライラの原因になってしまいます。
痛風も遺伝する病気だと言われますが、決してそんなことはありません。この 筋肉の酷い痛みの原因は「酒石酸」にあります。
お酒や肉、海鮮料理といった食べ物には、尿酸化合物の元になるプリンという 物質が多く含まれています。こうした食べ物を多く食べていると、酵母菌が過度に繁殖してしまい、代謝物として酒石酸が多くつくられてしまいます。
人間の細胞数は60兆個あると言われています。同時に、人間と共生している微 生物の数はその100倍にもなります。この事実は、他のすべての生命体も同じだと考えて間違いはありません。微生物の中にはバクテリアもあるし、ウイルスも少なくありません。通常、バクテリアは人間の表面しか分布しない微生物ですが、ウイルスは人間の組織や細胞の内部に入れる微生物です。
すべての生命は共生共存の関係があります。人間はふだん、自分が依存する生命体、つまり環境をつくる森や食糧を与えてくれる植物、タンパク質を得る動物のことしか頭に入っていません。しかしもっと大事なことは、人間の体の表面に 微生物を付ける必要があるということです。
もともとすべての人間はウイルスやバクテリアに感染しやすいものです。感染するかどうかは、人間の表面をバクテリアできちんと守れるかどうかにかかっています。ちょうど、地球の表面をオゾンガスが守っているようなものです。オゾン層に穴が空けば、紫外線が入ってしまいます。抗生物質や殺菌剤などの殺菌によって、人間の表面のバクテリアコーティング層に穴が開きます。そうすると、有害な病原微生物が感染しやすくなるのです。
実際は、菌が原因で病気になるよりも、潔癖症で、いつも体を殺菌している人のほうが病気にかかりやすいのです。石鹸で手の菌を洗い落とすという考えもおかしいものです。どんなによく洗っても菌が完全になくなることはありません。殺菌力のある洗剤で私達の体を洗うことは、水が汚染されるだけでなく、私達の表面をコーティングしているいい菌も殺してしまうので大きな問題です。中国ではセーフガードという名前の殺菌石鹸が売られていますが、この石鹸こそアトピーやアレルギーの原因になるので、使ってはいけません。
腸内菌全体の重さは、2キログラム以上にもなると言われていますが、腸にバクテリアが多いのは、とりもなおさず、ここに栄養と水分が多いからです。これはつまり、肌に腸ぐらいの水分と栄養があれば、肌のバクテリアを増やすことができるということです。肌にミルクとか豆乳を与えると、肌をコーティングするバクテリアが増えて、薬や化粧品にたよる必要がなくなります。
乳酸菌がたくさん乳酸化物を出して、腸内の酸度が高まると、腸の運動は連続蠕動になり、便通がとても良くなります。蠕動が断続的だと、便の形が悪くなり ますが、こういう状態が長くなると、硫化水素などの悪い物質を吸収しすぎることになり、糖尿や直腸がんにかかりやすく、怒りっぽくなったり、イライラしやすくなります。
また、外傷の傷口に乳酸菌をつけると回復が早くなることも分かりました。傷跡も見えにくくなります。
傷口は感染しやすい状態です。そこに乳酸菌を撒いたら、抗炎症と免疫刺激の功能によって、人間は感染の恐れをゼロ状態することができ自分の体力で回復し ます。また、乳酸菌がつくった抗菌ペプチドは、天然抗菌の作用があります。抗 生物質はすべての菌を無差別で殺しながら、免疫機能を弱化させてしまうのです。
私たちの健康、病気、寿命、精神状態に至るまで遺伝子の影響よりも、いかに菌に左右されているのかということでした。
いきすぎた清潔文化が良くないところは、せっかく菌が作った生命維持のためのバリアコーティングを壊してしまうことです。
腸内細菌が足りなくなった主因は、食品添加物や殺菌・抗菌剤による滅菌食品です。これらが腸をはじめとする体内に入ると、菌は正常に働くことができません。
化学合成したものを摂取すると、細胞が機能しなくなるうえに、菌も働かなくなってしまうのですから、腸内環境が悪化して当然。
猿やチンバンジーの病気は、わずか数十種類しかありません。人間の病気は3000~5000種類ともいわれています。同じ霊長類でこの差はなんなのでしょうか。ほとんど抗生物質と化学合成添加物のせい、といっても良いと思います。
口の中が清潔になるのはよいですが、その結果、口の中の常在菌を殺してしまい、外からの危険な菌やウイルスに感染しやすくなるからです。
公衆衛生学に「衛生仮説」という考え方があります。
「先進諸国でアレルギー疾患が増えているのは、育つ家庭で汚い場所を避けすぎているから、感染機会が失われたからだ」20年ほど前に、イギリスの学者が言い出したことです。
私が一つ提案したいことは、幼稚園や学校、あるいは公園などに砂場を設けて、小さい子供たちを思い切り遊ばせることです。
複数の菌を混ぜてそこで遊ばせれば、手足から、顔、胸、髪の毛、呼吸を通じて体内まで、よい菌をたくさんのせることができます。
地震などの非常時に備えて「保存食」を用意するのはまた別です。ふつうに暮らしている場合は、長持ち飲料はなるべく避けたほうが良いということです。なぜでしょうか?
食品を長く保存するには1つ決定的な条件があります。どんな方法であれ、菌を抑制する力がいるということです。保存が効くということは、その力を備えているということ。そんな食品を腸内に入れれば、腸内菌が迷惑します。
腸と腸内菌の関係はこのようなものですが、読者の皆さんにぜひ知って頂きたいのは、腸および腸内菌の営みは脳から独立して行われているということです。
腸が脳から独立して脳と同じような働きをしていることを、ガーション博士が発見するきっかけは些細なことでした。
脳に存在しているはずの神経伝達物質「セロトニン」が、腸にも存在しているのを見つけた博士は、さらに、セロトニンの大半が腸でつくられていることを突き止めたのです。
セロトニンの大半は腸でつくられますが、セロトニンは脳にもあります。身体全体 で見ると、腸に九95%、脳にはたったの2%だそうです。しかし、わずかとはいえ、 脳にもある。それは、どうやってつくられるのでしょうか。
単純に考えれば、腸でつくったものを脳へ届ければよい。ところが脳には血液脳関門(BBB)という関所があって、やたらな物質は入っていけない。セロトニンもその関門を通れません。では、脳はどうやってセロトニンをつくるのでしょうか?
関所を通れるセロトニンの前駆体を、腸から送っているのです。セロトニン前駆体 は「5 - HTP」という物質です。この物質をつくるとき、前記のビタミン類が必要になり、それを乳酸菌がつくっているというわけです。したがって、乳酸菌の果たしている役割は、腸だけでなく、脳の働きにも関係していることになります。
じつは、人間の共生菌と神経細胞が一番近くで接触するところは腸です。善玉菌の代表である乳酸菌が足りなければ、哺乳類の脳腸軸も発育できなくなることが、最近の研究でわかりました。
セロトニンという物質は、トリプトファンというアミノ酸からつくられます。トリ プトファンは必須アミノ酸ですから、身体のなかで合成できません。食事から、それを含んだタンパク質を摂る必要があります。
肉や魚のタンパク質が分解されてトリプトファンになると、それを材料に腸内でセ ロトニンがつくられます。そのとき、何種類かのビタミンが必要になります。
葉酸(ビタミンM)、ナイアシン(ニコチン酸)、ビタミンBなどですが、これらを つくり出すのが乳酸菌なのです。もし乳酸菌の働きが悪ければ、これらのビタミンが きちんとつくられず、腸は困ることになります。
菌と共生することで、お互いに相互補完しあって生命活動を営んでいます。その共生菌のなかで、私たちが一番注意を払わなければいけないのが乳酸菌です。
乳酸菌さえきちんと摂り入れていれば、肉体的にも精神的にも健康レベルの平均点はとれます。つまり、健康の大きな悩みを抱えずに人生を生きられるのです。
あなたが菌と上手につきあえているか、つまり菌との共生がうまくいっているかど うかは糞便で判断できます。
口から入った食べ物は、消化しきれない繊維質を除いて、すべて小腸で栄養が吸収 され、肝臓を経て全身に配給されます。その栄養分の一部は菌のエサになります。こうして宿主と菌のよい共生関係が成立します。
しかし、私たちの生活からゴミが出るのと同じで、体内からも老廃物や身体にいら ないものも出てきます。それが便と尿です。
便はどんな成分かというと、腸壁の剥離細胞などの老廃物、消化しきれなかった繊 維質、腸内菌とその残骸、あと水分から成り立っています。組成は水分が7-~80 %、水分以外は、老廃物や食べカスもありますが、85%は生きている菌とその残 骸。つまり、便は私たちがいかに菌と共生しているかの証でもあります。
また、便の色、かたち、においは体内の腸内菌の状態をよく現しています。便を観 察すると、腸内菌がよい状態かどうか、健康状態がわかります。
1.食べすぎない
2.多種類の食品を食べる
3.乳酸菌を積極的に摂る
この三つを着実に実行すれば、あなたの食生活は合格です。そして、菌との共生関係は必ずうまくいきます。
NS乳酸菌について3つのトピックスに分けてご紹介します。
NS乳酸菌とは?
代表的な「NS乳酸菌」など
NS乳酸菌のがんへの効果
花粉症が治った など
がんになる前の状態に初期化する
イライラの原因は腸内菌だった など